【―a virgin―3、4】





「クソ…、違う、ちょっとおかしくなっちまって……、悪かったよ、頼むから――変な目で見るな。お前、俺を大事にしてくれて感謝してるから……ッ」

ニックは、必死に言い募っている。

カーリーに嫌われると思っているのだ、たった一人仲良しの家族に。

そんなことない。

「平気なのに」

彼女はニックの固く強張った背中に、また腕を回した。

「ねえ、いいよ……しても」

ニックは振り向き、驚いてカーリーを見た。

「――本気か」

「うん、あたし……兄貴のこと、慰めたい」

「カーリー」

ニックが振り向き、頬を手で包まれ、唇にキスされた。

初めは軽く、昔お遊びでした双子がするような一瞬の触れ合い。

次は角度を変えて、何度か口先で啄ばまれた。

吐息を漏らすと、舌が入ってきてカーリーの唇の裏を舐める。

もう、挨拶や兄弟のキスじゃない……。

押されて、カーリーは手で身体を支えたが、ニックはその手を取って、ベッドの枕へと彼女を押し倒した。

「あ……」

何度も口づけ、舌を差し入れてきて、ニックは味わうように口の中を舐めていく。

カーリーが懸命についていこうと応え、ニックは少しキスの速度を落とした。

カーリーにはまだ早いキスを、兄である自分がしていると考えると、汚すようで胸が締め付けられ、同時に興奮した。

彼女は思う――兄貴は慣れてるんだ、やっぱり。

これも両親が兄だけを悪い若者扱いする理由。

ピカピカの処女であるカーリーと違い、肉体的に成長が早くて早熟で、もう童貞じゃない。

女の子と何人もと付き合い、妊娠騒ぎすら起こした。

Tシャツとブラジャーの上から、小さい胸にニックの手が置かれ、撫で回す。

ぶ厚いブラジャーが邪魔で、すぐに短いTシャツの下から手が忍び込んできた。

「ん、やっ……!」

口をもぎ放して、カーリーが胸を庇った。

ニックは妹を見つめ、濡れた唇を拭う。

我に、返ったのか?

俺に。つまり兄貴に、抱かれそうになってること……。

近親相姦、されそうになってる危機だってことを。

カーリーはニックを見つめたまま、

「あの…、あたし、胸が小さくて……」

「パットを入れて大きくしてること、気にしてんのか?」

「やだ、知ってたの!?」

「ああ……、ずっと…」

ずっと見てたから、変な目で。

兄が妹を見る目じゃないと、自分で分かってた。

「もう知ってる、だから……いいか?」

「ん……」

カーリーは頷き、少し身体に力を抜いた。

ニックはキスを何度かしながら、手をブラジャーの下に差し入れる。

成長途中の小さな胸だ、指先で何度も撫でて、やっと突起が固くなり始めた。

首筋に接吻し、少し舐める。

耳の後ろに舌を這わせると、カーリーが震えた。

感じているのだ。

シャツを捲り上げ、手伝ってバンザイをさせて脱がした。

綿の下着は幼くて、カーリーがまだ男の目を意識していないという純潔の証。

カーリーは少し恥じらいながら、自分でブラのホックを外した。

ニックはカーリーのGパンを引き下ろしてから、己もゆっくりとシャツを脱いで床に放る。

「兄貴って…、すごく、その、男らしい。あたし、ガキっぽくて嫌なんだよね、兄貴と比べると……」

「カーリー」

ニックはこの場を誤魔化すために可愛い事を言う妹が微笑ましくなり、我慢できずにまたキスした。

ずっとキスしていたい。ずっと、望んでた。

「……ファーストキスは、ジョゼフだっけか」

「そうだけど、何で?」

「俺との方が先だろ」

「赤ちゃんのころの話しじゃない」

「もう、違う」

胸を隠そうとしたカーリーの手を退かし、初めて見る、カーリーの乳房に唇を当て、口に含んだ。

チュ、チュウ……、

「感じるか?」

「わかんない、くすぐったい……吸われると、痛いよ」

永遠に吸っていてやりたいほど気に入ったが、ニックは吸うのをやめて、舌先でくすぐるように転がした。

カーリーの全身を、腕から鎖骨、爪先から腿に撫で上げて、また胸も戻って触り、キスをする。

それから、ニックはパンティの中に手を入れてきた。

「そこは……っ」

「濡れてるぜ」

カーリーがたまに自分でもこっそり触るところを、ニックは確実に指先で捕らえて、捏ねてきた。

「痛っ、痛いよ」

「これじゃ、強いか…」

カーリーの頬に何度も口づけ、毛もほとんど生えていない小さな丘をくすぐった。

「もっと……好くしてやる」

ニックはパンティのもっと奥に手を入れ、中指をヌルつく奥に当て、力を込めて中へと差し込もうとした。

ツキンと小さく痛みが走って、指が沈んで行きそうになる。

「あ――やだ!」

それまで身を任せていたカーリーが、腰を引いた。

ニックの手を下着から出させて、後ずさった。

「カーリー……」

「嫌…っ、やだ、もうしたくない…っ」

驚いて見返していたニックもすぐに気付いた。

「――…」

中に入れようとして怖がらせた……、まだ”コドモ”の妹を。

ニックから離れ、カーリーは胸を隠して体を背ける。

動揺しているカーリーに、ニックは後ろから手を伸ばして癖毛を撫でた。

それで逃げないので、ニックは寄って行き、腕を回しながら耳元に囁いた。

「なあ、平気か…? 悪かったよ……」

「兄貴、あたし…」

カーリーはおずおずと振り返り、ニックは言いかけた口の端にキスし、唇もついでに奪った。

後ろから抱き締められ、カーリーが訴える。

「ごめんね、あたし、まだ…っ」

「分かってる、いいんだ。無理にはしねえからさ……そんな、怖がんなよ」

「ん…」


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past 2


それから、ニックは夜カーリーの部屋に忍んで来るようになった。

ほとんど毎晩来たがって、合図をしてくる。

「なあ、今夜」

断るとき、カーリーは兄だから余り遠慮もしなかった。

「ムリよ、疲れてる」

とか、

「テスト勉強で遅くまで起きるからダメ」

と言うだけで良かった。

そう言って置いて、ニックが無断で部屋に入ったりすることは一度もなかった。

カーリーもいつも家では憂鬱そうに、そして寂しそうにしていたニックが楽しげにしていて、嬉しいと思った。

いつも触るときカーリーの心地良さを優しく探り、真摯で、でもカーリーが困ると茶化してくれる。

だから、行為の意味も深く考えなかった。

彼女は考えないように、していた。

触りっこだ、大したことじゃない、と……。

何より、ニックはすごく嬉しそうで、幸福そうですらあった。

そんな兄を見るのは、久しぶりでカーリーは良かったと思った。

すぐにガールフレンドが出来て、カーリーには妹としてしか”感じ”なくなる、筈だから。





部屋に来るのを承諾する場合、イエスのときは、微笑んで頷くだけで良かった。

寝静まった夜中にドアを開けて鍵を閉め、ニックはベッドに潜り込んでくる。

「カーリー」

まどろんでいたカーリーに、ニックは何度も口づけを落とした。

半分眠りながら、深くなっていくキスに応えるカーリーは信じがたいほど愛らしい。

口を開けて小さく舌を出し、ニックの舌先を怖じ気付きながら舐めてくる。

俺たちは全然似ていない。

だから、妹に恋を……?

「ニック……?」

「眠いか?」

「ううん、平気」

カーリーは目を開けてニックを見上げ、剥き出しの肩を見て、上掛けに入って来ている半身も見下ろしていき、

「兄貴!」

やっと、既にニックが全裸だと気付く。

今まではそんなこと無かったのに。

「やだ、こんなの……」

「いいだろ?」

上に載って、口を口で塞ぎ、ニックが囁く。

「手間を省いたのさ」

どうせ、しばらくいちゃついたら、脱ぐのだから。

寝巻きのシャツの上から、乳房を撫で回す。

布の上から爪弾くと、カーリーが息を詰めた。

「んっ……」

カーリーは幼くて、まだ強く吸われたり抓まれたりするのは痛いだけで、そっと触らないと感じない。

服の上からしばらく悪戯して、突起を固く立たせた。

弄り続けて、カーリーの息が乱れて、ゆっくりと身をくねらせる。

もう我慢できねえ――ニックはパジャマを捲り上げ、ピンクの乳首を口に含んだ。

ニックは腕を上げさせてパジャマを脱がせ、ズボンも下げていく。

窓からカーテンを透かして入って来る街灯の灯り以外はない闇の中で、カーリーは裸にされる。

だが、最初に怖がったから、パンティだけは身に着けている。

ほっそりとした脚を撫でて、薄いその上から、ニックは指先でカーリーの秘所を辿った。

「なあ、今まではなかったけどよ…」

またキスしながら、ニックが吐息で頼んでくる。

「触ってくれ、俺の……、嫌か?」

「ううん、イヤじゃない」

本当は下半身なんて汚いと思っていたし、少し迷っていたが、ニックからはシャワー後の良い匂いがしたので、勇気を振り絞る。

カーリーは固くなって天を向く性茎を見て、少し逡巡しながら手で撫でる。

ニックは自分で扱いて、見本を示した。

見よう見まねのカーリーの手付きはぎこちない。

これではとてもイケないが、カーリーは男のイチモツなど触ったことがないからだ。

初めて、男の肉棒に触らせてる……そう思うと、興奮する。

が、何と、次にカーリーは顔を近付けて、舌先を触れさせた。

口で吸いながら、竿の部分を手で上下に擦り上げる。

「――お前そんなこと……どこで」

「びっくりした?」

カーリーが少し意地悪げに微笑む。

「兄貴ってば、いつも余裕って顔してるから」

既知のニックにリードばかりされて、少々癪だった。

ニックはまるで、己を優しい先生みたいな態度で、いやらしいことをカーリーに教え込もうとしている。

「俺が、余裕?」

ニックは引き攣った笑いを浮かべて、カーリーを見定めた。

「計算さ、お前が気を許すように」

優しく見せようとしてる。

それが余裕があるように見えるだけだろう。

「俺がハアハアして、獣みたいにお前を喰ったら、お前泣いちまうだろ」

「バカにしないで、泣かないよ」

「いいや、泣くね」

「嘘よ」

カーリーはお返しとばかりにまた口に含むが、棒の先端から何かが溢れ、口を満たす。

彼女は大慌てで顔を離した。

「やっ……、何これっ?」

カーリーは顔を顰めて、手に出そうとしたが、少量なので口で広がってしまったようだ。

「やだぁ〜…、こんなのやだ」

カーリーは手で口を押さえて、本気で泣きそうになっている。

先走りくらいで大騒ぎしやがって、俺が口に出したと思ってやがる――ニックは始めカーリーのパニックに失笑していたが、ショックを受けている姿に、笑いが消えて俯いた。

笑い事じゃない。

妹に、口でさせて、兄の体液を飲ませたのだ。

クソ、そんなの、最低だよな……。

「兄貴、イッた…?」

最低だというのに、涙目で振り向いてニックを見つめてくるカーリーに、ますます根が熱くなって固くなる。

「違うぜ、全然違う」

ニックは慄くカーリーを抱き寄せ、耳元に熱い息を吹き込んだ。

妹の性感帯が耳だということはもう気付いていた。

「お前の口に出ちまったのは、ザーメンじゃない」

「じゃあ、何なの?」

「気持ちいいと、出ちまうの……、お前、上手いな」

「ホント?」

褒められるのが大好きなカーリーは、機嫌を直したようだ。

ニックはキスしながら、カーリーを押し倒し、少し身体をずらして自分で手にした。

カーリーのパンティが邪魔だ、剥ぎ取ってやりたい。

「な…、お前も全部脱げよ」

「だって…」

「お返しに、舐めてやるよ」

「え……、いい、そんなの」

全裸は余りにも無防備で、強くされたら拒めないかもしれないというカーリーの不安を、すぐにニックは察知する。

処女と寝たこともある。伊達に、女と遊んでいないのだ。

「お前が裸になっても、お前が嫌がることは、絶対しないから…」

大切で、大好きで仕方がない妹の大事な”初めて”を無理に奪ったりなんか、絶対にしない。

聞いたこともないほど真摯なニックの声と表情に、カーリーはこんな時には不似合いな感慨を抱く。

こういう感じでいつも話せば、パパもママも兄貴をすっかり自慢にするだろうに、いつも斜めに構えてるから貧乏クジを引いちゃうのよ。






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